側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会
「それなら、私だけを見て」
キョンシルが真正面からトスを見つめる。
熱を帯びた視線が一時、絡み合い、離れた。
その場を取り巻く空気の密度が俄に濃くなった。あまりにも強い熱を孕んだ沈黙に押し潰されたそうになった時、トスの声音が耳朶をかすめた。
「嫌なら今、言ってくれ。そなたがまだ心の準備ができていないというのなら、俺はここで止める」
常の彼のものとは微妙に異なる、声。艶を帯びた少し掠れた声は湿っていて、吐息が触れた耳朶からもまた例の未知の感覚が走った。
キョンシルが真正面からトスを見つめる。
熱を帯びた視線が一時、絡み合い、離れた。
その場を取り巻く空気の密度が俄に濃くなった。あまりにも強い熱を孕んだ沈黙に押し潰されたそうになった時、トスの声音が耳朶をかすめた。
「嫌なら今、言ってくれ。そなたがまだ心の準備ができていないというのなら、俺はここで止める」
常の彼のものとは微妙に異なる、声。艶を帯びた少し掠れた声は湿っていて、吐息が触れた耳朶からもまた例の未知の感覚が走った。