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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第19章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 再会

 月が男の顔を照らす。今夜のトスは本来のトスらしさが顕著に滲み出ていた。静かな雰囲気を纏っているのに、獣めいた猛々しさが彼の全身から発散されている。
 トスは上衣を放り投げ、後ろで束ねていた髪の紐をおもむろに解いた。さらりとした髪が落ちてきたところで、彼は頭をひとふりする。
 夜明け間近の薄蒼さが漂う室内に、トスの鍛え抜かれた裸身がくっきりと際立って浮かび上がった。痩せていると思っていた体躯は、露わになった上半身から、着痩せしていたことが判る。

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