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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

「なっ、何をするの。止めなさい」
 渾身の力で暴れたが、逞しい男と少女では所詮、比べものにならない。抵抗はあっさりと力でねじ伏せられ、キョンシルは背後から抱きすくめられたまま、顔に湿った布きれを押し当てられた。
―なに、この匂いは。
 馴染みのない刺激臭はつんと鼻にくる。かと思ったら、忽ちの中に酒を飲んだときのような酩酊感が彼女を襲った。現実としてキョンシルは酒は受け付けない質だ。しかし、酒豪のトスに付き合い、味見をしたことくらいはある。

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