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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 誰かがひそひそと囁き交わしている。
 キョンシルはまだじんじんと痺れた頭で考えた。話しているのは男二人。
「それにしても、えれえ別嬪だなぁ、兄貴」
「おい、妙な気は起こすなよ。この娘っこは、旦那さまの大切な切り札だからな」
「切り札ったって、どうせ最後には殺すんだろう。こんな綺麗な娘をただであの世に送るのは勿体ないぜ」
「いや、俺が思うに、恐らく旦那さまは、この娘を取引に使うおつもりはないだろう」
「ええっ、俺はてっきり、この女の生命と引き替えに崔イルチェから、うちの旦那さまこそが次の崔氏の跡継ぎだとお墨付きを貰うのかと思っていたがな」

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