
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い
「だから、お前は馬鹿だっていうんだよ。つくづく読みの浅い奴だ。よおく考えてみろよ。この娘が生きている限り、旦那さまは絶対に本家の正当な後継者にはなれねえ。ならば、いっそのこと、娘を亡き者にしてやれば、何にも七面倒くさい取引なんてしなくても、本家当主の座は旦那さまの許に転がり込むってえ寸法じゃねえか。どうせ本家のイルチェは明日をも知れぬ生命、いまだに生死の境を彷徨ってるんだ。あの目障りな爺ィがくたばるのも時間の問題だろ」
「なーる。流石は兄貴だ。俺と違って、読みが深いな。なら、何で旦那さまはわざわざ娘を俺たちに攫ってこさせたんだ? ひと想いに殺しちまえば早いのに」
「なーる。流石は兄貴だ。俺と違って、読みが深いな。なら、何で旦那さまはわざわざ娘を俺たちに攫ってこさせたんだ? ひと想いに殺しちまえば早いのに」
