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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 ミンチュの屋敷に仕える女中や下男が納屋の中から女のすすり泣きを聞いたとか、もしくは、納屋の前に立つ白装束の若い女を見たとか、怪談めいた話が立て続けに起こったからだ。
 実は、あの攫われてきた娘は人知れず始末され、哀れな娘の魂がこの世に恨みを残して成仏できずに彷徨い出てきたのだ―、ミンチュの屋敷の使用人たちは真顔で語り合った。
 この話を当のミンチュが鵜呑みにしたのかどうかは判らないが、ミンチュは三年後、狂い死にしたといわれている。

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