
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い
しかし、そのときはまだ、トスも異変が起こっているのだとは考えなかった。どこか近くまで買い物にでも出かけているのだろうとくらいにしか思わなかった。
が、待てども待てども、キョンシルは帰らない。夕刻どころか、町が夜の底に沈む刻限になっても帰らなかった。流石におかしいと思い始め、心当たりはすべて探してみたけれど、見つからなかった。
トスは苦い笑いしながら言ったものだ。
―帰ってきて、そなたがいないと判った時点でおかしいと思うべきだった。
確かに、そのとおりではあった。トスの帰宅時間は大抵決まっている。その時刻までには、キョンシルは夕飯の支度を調えて帰りを待っているのが日課のようになっていた。
が、待てども待てども、キョンシルは帰らない。夕刻どころか、町が夜の底に沈む刻限になっても帰らなかった。流石におかしいと思い始め、心当たりはすべて探してみたけれど、見つからなかった。
トスは苦い笑いしながら言ったものだ。
―帰ってきて、そなたがいないと判った時点でおかしいと思うべきだった。
確かに、そのとおりではあった。トスの帰宅時間は大抵決まっている。その時刻までには、キョンシルは夕飯の支度を調えて帰りを待っているのが日課のようになっていた。
