側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
「何が縁のない世界なものか。キョンシル、そなたはその名門中の名門の血を引くただ一人の娘なのだぞ?」
そう真顔で言われても、今ひとつ実感が湧かない。キョンシルが愕いたのは己れが両班の血を引くという事実よりも、トスが現在の朝廷や名門崔氏の歴史に精通していることだった。
トスには失礼かもしれないけれど、どこから見ても流れ者の剣士にしか見えないトスか何故、両班や朝廷について熟知しているのか。
トスは確かに腕の立つ武芸者であるが、どこか得体の知れない胡散臭さが漂っていた。間違っても、両班の中でも特に家門の高いといわれる崔氏やこの国を統べる王さまのいる宮殿とは縁がなさそうなのに。
そう真顔で言われても、今ひとつ実感が湧かない。キョンシルが愕いたのは己れが両班の血を引くという事実よりも、トスが現在の朝廷や名門崔氏の歴史に精通していることだった。
トスには失礼かもしれないけれど、どこから見ても流れ者の剣士にしか見えないトスか何故、両班や朝廷について熟知しているのか。
トスは確かに腕の立つ武芸者であるが、どこか得体の知れない胡散臭さが漂っていた。間違っても、両班の中でも特に家門の高いといわれる崔氏やこの国を統べる王さまのいる宮殿とは縁がなさそうなのに。