テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 トスはまだ末席ながら既に官職を得、朝廷の官僚として日々、宮殿に出仕している。
 絹店の用心棒をしていた時分とは打って変わり、髷もきちんと結い、濃紺の上物のパジチョゴリを纏っている。どこから見ても、両班を代表する名門崔氏の当主にふさわしい威厳と気品に溢れ、更に男ぶりも増していた。
 流石にトスももうソンを〝あいつ呼ばわり〟はしない。むしろ、
―国王(チユサン)殿下(チヨナー)はまだお若いが、殊の外、聡明でいらせられ、同時に民を心から思われている。いずれはこの国の歴史に残る聖(ソン)君(グン)となられよう。
 と、ソンの王としての器を高く評価している。最早、キョンシルがソンの偽物の妃であった事実に拘りはないようだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ