側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
「そんなこと、知らない」
キョンシルは頑なに言い張った。
「私は崔イルチェさまをお祖父さまだなんて思いたくもないの。その人が私のお父さんやお母さんを不幸にしたのも同然よ。汗水垂らして働いたことなんかない両班家の若さまがその日暮らしの労働者になって、長生きなんてできるわけがない。お母さんだって、お父さんが元気でいれば、あんなに働きどおしで身体を壊すこともなかったんだわ。何もかも皆、崔イルチェさまのせいじゃないの」
キョンシルの涙に、トスがハッと胸をつかれたような表情になった。
「だから、私は絶対に崔氏のお屋敷には行かないの」
大粒の涙を流すキョンシルを痛ましげに見つめ、トスは諦めたように頷いた。
「判ったよ。もう二度と崔氏の話しない。だから、泣くのは止めなさい」
キョンシルは頑なに言い張った。
「私は崔イルチェさまをお祖父さまだなんて思いたくもないの。その人が私のお父さんやお母さんを不幸にしたのも同然よ。汗水垂らして働いたことなんかない両班家の若さまがその日暮らしの労働者になって、長生きなんてできるわけがない。お母さんだって、お父さんが元気でいれば、あんなに働きどおしで身体を壊すこともなかったんだわ。何もかも皆、崔イルチェさまのせいじゃないの」
キョンシルの涙に、トスがハッと胸をつかれたような表情になった。
「だから、私は絶対に崔氏のお屋敷には行かないの」
大粒の涙を流すキョンシルを痛ましげに見つめ、トスは諦めたように頷いた。
「判ったよ。もう二度と崔氏の話しない。だから、泣くのは止めなさい」