側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
細い道の両側には畑がひろがっていて、まるで緑色の海がぽっかりと割れて、ひとすじの道が続いているようだ。
「ねえ、あの葉っぱは、なあに?」
キョンシルが訊ねると、トスは心底愕いたような表情を返してきた。
「何だ、両班のお嬢さまでもあるまいしなんて今し方言ったばかりの人間がトウモロコシを知らないのか?」
「悪かったわね。私は確かに庶民ですけど、畑仕事はしたことないの! 収穫したトウモロコシなら判るけど、収穫前のトウモロコシなんて見たことがないんだから」
「何も自慢できるようなことでもないぞ」
トスが澄まして言うのが悔しくて、キョンシルは思い切り頬を膨らませた。
「トスおじさんは案外、意地悪なのね」
「ねえ、あの葉っぱは、なあに?」
キョンシルが訊ねると、トスは心底愕いたような表情を返してきた。
「何だ、両班のお嬢さまでもあるまいしなんて今し方言ったばかりの人間がトウモロコシを知らないのか?」
「悪かったわね。私は確かに庶民ですけど、畑仕事はしたことないの! 収穫したトウモロコシなら判るけど、収穫前のトウモロコシなんて見たことがないんだから」
「何も自慢できるようなことでもないぞ」
トスが澄まして言うのが悔しくて、キョンシルは思い切り頬を膨らませた。
「トスおじさんは案外、意地悪なのね」