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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

 トスは気を悪くする風でもなく、声を上げて笑った。
「それは褒め言葉と受け取っておこう」
「まっ、私は別に全然、褒めたつもりじゃないんだけど?」
 トスは笑いながら歩き出す。ぷりぷりしていると、いつのまにか一人、置いてきぼりになったので、キョンシルは慌てて後を追いかけた。
 こうなると、まるで大人と子どもである。幾らキョンシルがムキになろうと、トスは軽く受け流すだけで本気で取り合おうとしない。しまいにはキョンシルの方も馬鹿らしくなって、いつもの調子に戻るのだ。
「トスおじさんは物識りね。でも、農作物にまで詳しいとは知らなかったわ」
 トスが周囲の光景に眼を細めた。

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