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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

 風がトウモロコシ畑を吹き渡り、黄緑色の葉がさわさわと揺れる。
「俺の故郷はトウモロコシがよく採れたからな。ガキの頃から見慣れてるんだよ」
「へえ、そうなんだ。ねっ、故郷といえば、おじさんがさっき言っていた話は本当なの?」
「一体、何の話だ?」
「いやあね、空惚けるつもり?」
 そう言ってから、キョンシルは意味ありげに笑った。
「それとも、もうトシだから、そろそろ物忘れが酷くなってきたのかしら」
「なっ、何だと? 俺はまだ三十になったばかりだぞ。人を爺ィ呼ばわりするな」
 今度はトスが真剣に怒っている。
 キョンシルはクスッと笑った。
「これでおあいこよ」

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