側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
キョンシルのような小娘にさえ、トスがただ者ではないことは判った。もしかしたら、―自分の義父となる男が殺人者であるとは思いたくないが―、トスが肌身離さないあの長刀は、かつて人の血を吸ったことがあるのではないか。
しかし、トスはけして理由もなく人を斬り殺すような男ではない。それだけは断言できる。もし、あの剣を抜かざるを得ない状況があったとすれば、それは相手がトスの忍耐力をはるかに上回るだけの何かをしでかしたからだろう。
キョンシルがよく知るトスは控えめで口数の少ない、至って物静かな男であった。
しかし、トスはけして理由もなく人を斬り殺すような男ではない。それだけは断言できる。もし、あの剣を抜かざるを得ない状況があったとすれば、それは相手がトスの忍耐力をはるかに上回るだけの何かをしでかしたからだろう。
キョンシルがよく知るトスは控えめで口数の少ない、至って物静かな男であった。