
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
まさか止められるとは思っていなかったから、キョンシルは眼を丸くした。
「どうして?」
「こんな人家どころか、ろくに人も通らないような場所をそなた一人では歩かせられない」
そのあまりの用心深さに、キョンシルは笑い出した。
「ねえ、おじさん。さっきも言ったばかりでしょ。私は両班のお嬢さまではないのよ。何も護衛なんてなくても、一人でちゃんと外くらい歩けるわよ」
「両班か常民(サンミン)の娘かなぞ、関係ない。飢えた狼は獲物を選ばないんだ」
「飢えた狼? 狼がこの辺にいるの」
その無邪気な質問に、トスは盛大な吐息をついた。
「どうして?」
「こんな人家どころか、ろくに人も通らないような場所をそなた一人では歩かせられない」
そのあまりの用心深さに、キョンシルは笑い出した。
「ねえ、おじさん。さっきも言ったばかりでしょ。私は両班のお嬢さまではないのよ。何も護衛なんてなくても、一人でちゃんと外くらい歩けるわよ」
「両班か常民(サンミン)の娘かなぞ、関係ない。飢えた狼は獲物を選ばないんだ」
「飢えた狼? 狼がこの辺にいるの」
その無邪気な質問に、トスは盛大な吐息をついた。
