
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
「判った」
キョンシルが頷くと、トスは担いできた袋から着替えのチョゴリを取り出し身に纏うと、逃げるように小屋を出ていった。
パチパチと薪が音を立てて燃えている。時折、風が吹く度に、焔がすかに揺れる。粗末な小屋は隙間だらけで、風はそこから入ってくるのだ。
トスはじいっと揺れる焔に視線を注ぎ、ひと言も喋らない。彼が背負ってきた大きな袋の中には、様々な物が入っている。何しろ、ゆく当てのない旅である。いつまで続くのやら知れず、携帯食や常備薬の類は揃えられるだけ揃えて、着替えなどはその気になれば、いつでもどこでも調達できるのだとトスは予め教えてくれた。
キョンシルが頷くと、トスは担いできた袋から着替えのチョゴリを取り出し身に纏うと、逃げるように小屋を出ていった。
パチパチと薪が音を立てて燃えている。時折、風が吹く度に、焔がすかに揺れる。粗末な小屋は隙間だらけで、風はそこから入ってくるのだ。
トスはじいっと揺れる焔に視線を注ぎ、ひと言も喋らない。彼が背負ってきた大きな袋の中には、様々な物が入っている。何しろ、ゆく当てのない旅である。いつまで続くのやら知れず、携帯食や常備薬の類は揃えられるだけ揃えて、着替えなどはその気になれば、いつでもどこでも調達できるのだとトスは予め教えてくれた。
