
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
「ありがとう、大切にするね」
だが、トスへの想いは一生涯、表には出さないと心に固く誓っている。ここはトスの真心を受け取り、感謝と彼の負担にならない程度―義理の娘としての親愛の情を返すべきだ。
「よし、ちょっと貸してごらん」
トスが簪をひょいと取り上げ、キョンシルの背後に回った。
トスの無骨な手がキョンシルの艶やかな黒髪に触れた、その瞬間。キョンシルは反射的に悲鳴を上げて、トスから逃れるように離れた。
「―キョンシル」
トスのよく整った顔に落胆の色が濃く滲む。
「ごめんなさい! 私ったら」
キョンシルはしゅんとして唇を噛んだ。
だが、トスへの想いは一生涯、表には出さないと心に固く誓っている。ここはトスの真心を受け取り、感謝と彼の負担にならない程度―義理の娘としての親愛の情を返すべきだ。
「よし、ちょっと貸してごらん」
トスが簪をひょいと取り上げ、キョンシルの背後に回った。
トスの無骨な手がキョンシルの艶やかな黒髪に触れた、その瞬間。キョンシルは反射的に悲鳴を上げて、トスから逃れるように離れた。
「―キョンシル」
トスのよく整った顔に落胆の色が濃く滲む。
「ごめんなさい! 私ったら」
キョンシルはしゅんとして唇を噛んだ。
