
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
今更訊かずとも、既に彼はキョンシルにもはっきりと語ったではないか。
なのに、何故、自分は今になってトスに都を出た理由など訊いたのだろう。よもや、旅に出たのはミヨンの想い出や面影を忘れるためではなく、キョンシルと二人だけになりたかったのだ―、そんな馬鹿げた科白を期待したわけでもなかろうに。
キョンシルは無理に微笑みを作った。その場の沈んだ空気を何とか浮上させたくて、わざと明るさを装う。
「じゃあ、故郷の話をして」
「故郷、俺のふるさとの話か?」
「うん」
〝無邪気なキョンシル〟の笑顔を向けると、〝やれやれ〟とトスは頭をかいた。
なのに、何故、自分は今になってトスに都を出た理由など訊いたのだろう。よもや、旅に出たのはミヨンの想い出や面影を忘れるためではなく、キョンシルと二人だけになりたかったのだ―、そんな馬鹿げた科白を期待したわけでもなかろうに。
キョンシルは無理に微笑みを作った。その場の沈んだ空気を何とか浮上させたくて、わざと明るさを装う。
「じゃあ、故郷の話をして」
「故郷、俺のふるさとの話か?」
「うん」
〝無邪気なキョンシル〟の笑顔を向けると、〝やれやれ〟とトスは頭をかいた。
