テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

「トウモロコシにも色々あるんだよ。例えばトウモロコシは全体的には温かい地方で生育するのに適した作物だ。が、中には例外もあって、漢陽のようなところでも育つ、つまり寒さに強い品種もある」
「そうなの。トスおじさんは何にでも詳しいのね」
 褒められて悪い気はしないのか、トスは頭をかいて照れている。こんな表情もこれまでは見せなかった一面だ。
「まあ、な。若い頃、トウモロコシの品種改良を目指したこともあるから」
「品種改良! 凄い、学者みたい」
キョンシルが無邪気に手を叩く。トスは紅くなって、わざとらしい咳払いを繰り返した。
「これでも一応、若い頃はひととおりのことはやったんだぞ、どうだ、少しは見直しただろう」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ