テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第2章 哀しみはある日、突然に

「そう?」
 ミヨンはまだ案じ顔である。キョンシルはわざと明るい声音で言った。
「それよりも、お母さん(オモニ)、とっても素敵よ。いつも私と並んでても母娘には見られた試しはないけれど、その格好じゃ余計にそうなりそうね」
「何を言ってるんだか。私はもう三十二にもなるんだよ? 十五のお前に敵いっこあるはずがないだろう」
 ミヨンの白い頬にうっすらと血が上る。
 キョンシルは悪戯っぽく笑った。
「あら、じゃあ、今夜、トスさん(オルシン)が来た時、もう一度、この花嫁衣装を着て見せたら? きっとトスさんだって、私と同じことを言うと思うわ。もしかしたら、二度惚れしちゃうかも」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ