
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
彼女は年上らしく寛容で、トスはミヨンの側ではいつも〝剣士〟なり〝用心棒〟のいかめしい仮面を脱ぎ棄て、弟のように甘えていられた。
その反面、彼の恋人は何においても常に完璧であることを求めた。もちろん、彼や周囲の人間に対しては違う。他人には鷹揚であっても、こと自分(ミヨン)のことになると、妥協を許さなかった。もっと気楽に生きても良いのにと思ってしまうほど、自分自身に対して厳しかった。何でも素早く完璧にこなす恋人をトスは誇らしく思う反面、たまに気詰まりだと感じることもあった。
人間は少しくらいは羽目を外した方が良い、というのが彼の持論なのだが、少なくとも、ミヨンは、そういう生き方を好まない女であった。
ところが、彼女の娘ときたら、どうだろう。
その反面、彼の恋人は何においても常に完璧であることを求めた。もちろん、彼や周囲の人間に対しては違う。他人には鷹揚であっても、こと自分(ミヨン)のことになると、妥協を許さなかった。もっと気楽に生きても良いのにと思ってしまうほど、自分自身に対して厳しかった。何でも素早く完璧にこなす恋人をトスは誇らしく思う反面、たまに気詰まりだと感じることもあった。
人間は少しくらいは羽目を外した方が良い、というのが彼の持論なのだが、少なくとも、ミヨンは、そういう生き方を好まない女であった。
ところが、彼女の娘ときたら、どうだろう。
