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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

 しかも、ミヨンの不幸な急死から、ひと月と経っていない時期だ。いや、単に月日の問題なら、待てば良い。が、どれほどの歳月を経たとしても、キョンシルがミヨンの娘であるという事実は変わらない。
 俺は一体、どういう人間なんだ? ミヨンに永遠の愛を誓っておきながら、彼女が亡くなってまだわずかだというのに、今度はその娘に心を移すのか!?
 トスは歯がみした。それでも自分はまだ良い。仮にキョンシルの合意を得られれば、夫婦になること自体は不可能ではない。―ないが、世間の非難はトスだけでなくキョンシルにも集中することは必定であった。
 詮索好きの連中であれば、二人がミヨンの生きている頃から既にただならない仲であったと―つまり近親相姦であり三角関係だと―勘繰る者たちまで出てくるはずだ。

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