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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

 キョンシルがその渦中の人物崔チソンの娘だと知り、流石に愕いたものの、チソンの娘だからこそ、彼女を崔氏に戻してやるべきなのではという想いもまた強かった。
 また、自分がキョンシルに惹かれていく一方である現状では、なおのこと、キョンシルとは距離を置いた方が良いのだとも判っていた。何より、亡くなったミヨンは死の間際、娘が崔氏に戻ることを望んでいた。 
 あの日、キョンシルが崔氏の娘だと知った瞬間に生じた迷いは、今や完全に一つの結論に達しようとしていた。 
 キョンシルは崔氏に戻るべきであり、自分の想いはキョンシルを不幸にする。そこから導き出される結論はただ一つしかない。

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