側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第5章 対面
し、しまった!! 思わずヒヤリとしたが、案の定、老人は眉間の皺をますます深くした。
「で、この者を連れてきたという胡乱な男は帰ったのか?」
―な、何ですって? トスおじさんを胡乱なヤツですって? この失礼な糞爺ィめ。
ますますムッとしたが、トスとの約束がある。どんなことがあっても、崔家では揉め事を起こさないこと。これをちゃんと守れば、浜木綿(はまゆう)が群れ咲くというトスの故郷に連れて行って貰える。だから、ここは何としても頑張らないといけない。
「いえ、まだ門前で待っていると存じますが。では、その者にもお逢いになりますか?」
馬執事が控えめに言うのに、老人はぞんざいに言い放った。
「どうせ、そやつも賤しい身分の者であろう。これまでにもチソンの娘だか息子だとか、崔氏の財産のおこぼれに預かろうと何人もの偽物が名乗り出てきおったではないか。
「で、この者を連れてきたという胡乱な男は帰ったのか?」
―な、何ですって? トスおじさんを胡乱なヤツですって? この失礼な糞爺ィめ。
ますますムッとしたが、トスとの約束がある。どんなことがあっても、崔家では揉め事を起こさないこと。これをちゃんと守れば、浜木綿(はまゆう)が群れ咲くというトスの故郷に連れて行って貰える。だから、ここは何としても頑張らないといけない。
「いえ、まだ門前で待っていると存じますが。では、その者にもお逢いになりますか?」
馬執事が控えめに言うのに、老人はぞんざいに言い放った。
「どうせ、そやつも賤しい身分の者であろう。これまでにもチソンの娘だか息子だとか、崔氏の財産のおこぼれに預かろうと何人もの偽物が名乗り出てきおったではないか。