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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第5章 対面

今回もまた、この娘を連れてきた男が仕組んだ猿芝居ではないのか」
 何という言い草だろう! まるで自分を中心にこの世界が回っているとでも言いたげなこの態度は許せない。
「はあ、しかし、大(テー)監(ガン)さま(ナーリ)。この娘を連れてきた朴トスという男、少々強面ではございますが、品は悪くございません」
 馬執事はトスの印象を思い出しながら、言葉を選んで応えている。彼は、まだ四月の半ばだというのに、真夏並に額に汗を浮かべていた。
 キョンシルは急にこの三十半ばほどの執事が気の毒になった。このいかにも気むずかしげな老人に始終詰問攻めにあっていれば、真冬でも大量の汗をかくようにもなるだろう。
 少々強面だが、品は悪くない。確かに言い得て妙な表現だ。

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