側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第5章 対面
しかし、あの翡翠の首飾りは紛れもなく崔氏の当主夫人に代々受け継がれてきたものであるし、書き付けもまさしく本物だ。
証文に書かれたのは確かに見憶えのある懐かしい息子の手蹟だし、印にも間違いはない。
つまり、あの愚かで下品な娘がかつて彼の自慢の息子であったチソンを父として生まれてきたということなのだ。そして、母親はあろうことか、場末の酒場の女だった。
宋ミヨン、彼自身は逢ったことはないが、息子をその色香で籠絡し、彼から最愛の一人息子を奪った邪悪な女である。その憎らしい女の名をこの十六年間、一度として忘れたことはない。
彼の息子はミヨンと出逢った当時、既に朝廷の官職についていた。まだ位はさして高くはなかったが、名門の嫡子であるからには、順当な出世は既に約束されていた。また、息子はそれに見合うだけの才覚も持ち合わせていた。
証文に書かれたのは確かに見憶えのある懐かしい息子の手蹟だし、印にも間違いはない。
つまり、あの愚かで下品な娘がかつて彼の自慢の息子であったチソンを父として生まれてきたということなのだ。そして、母親はあろうことか、場末の酒場の女だった。
宋ミヨン、彼自身は逢ったことはないが、息子をその色香で籠絡し、彼から最愛の一人息子を奪った邪悪な女である。その憎らしい女の名をこの十六年間、一度として忘れたことはない。
彼の息子はミヨンと出逢った当時、既に朝廷の官職についていた。まだ位はさして高くはなかったが、名門の嫡子であるからには、順当な出世は既に約束されていた。また、息子はそれに見合うだけの才覚も持ち合わせていた。