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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第5章 対面

 あんな生意気で礼儀知らずの小娘がチソンの娘、我が孫だなどと断じて認めるものか。
「最早、この世も末だな」
 老人―崔イルチェは大息をつき、首を振った。
 と、傍らの馬執事がどこか弾んだ声音で言った。
「勇ましいお嬢さま(アガツシ)でございますね。なかなか先が頼もしいお方のようにお見受けいたしました」
「そなたは余計なことを言わんで良い」
「申し訳ございません、旦那さま」
 イルチェにじろりと睨まれ、馬執事は身を縮めた。

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