側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第5章 対面
一方、キョンシルが崔家の門前まで引き返してきた時、そこにトスの姿はなかった。
慌てて周囲を見回してみても、トスらしい並外れた長身の男は影も形も見当たらない。
途方に暮れて涙が出そうになった時、〝あのう〟と遠慮がちに声をかけられた。振り返ると、若い男がひっそりと佇んでいる。粗末なパジチョゴリに頭には布を巻いている姿は、この屋敷の下男らしい。背も高いが、更に横幅も半端ではない。要するに、巨漢だった。左眼の下の泣きぼくろが愛嬌を添えている。
見憶えのある顔は、どこかで逢ったような気もするのだけれど、気のせいだろうか。
「何か?」
キョンシルが小首を傾げると、若い家僕はさっと頬を赤らめた。
慌てて周囲を見回してみても、トスらしい並外れた長身の男は影も形も見当たらない。
途方に暮れて涙が出そうになった時、〝あのう〟と遠慮がちに声をかけられた。振り返ると、若い男がひっそりと佇んでいる。粗末なパジチョゴリに頭には布を巻いている姿は、この屋敷の下男らしい。背も高いが、更に横幅も半端ではない。要するに、巨漢だった。左眼の下の泣きぼくろが愛嬌を添えている。
見憶えのある顔は、どこかで逢ったような気もするのだけれど、気のせいだろうか。
「何か?」
キョンシルが小首を傾げると、若い家僕はさっと頬を赤らめた。