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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第5章 対面

「あるお方から、これをお嬢さま(エギツシ)にお渡しするようにと託かっています」
 もしやと、キョンシルの脳裏に閃くものがあった。差し出された封筒を開くのももどかしく開けた。
〝そなたは、そなたの新しい人生を歩んでくれ。俺はそなたに言ったように、一人になって、もう一度、自分のこれからなすべきことについて考えてみようと思う。幸せを祈っている〟
 トスの書いた字を見るのは初めてであるが、思いの外の達筆である。差出人の名は記されていなかったが、誰が書いたかはすぐに判った。
 キョンシルは、家僕に食らいつかんばかりの勢いで問うた。
「この文をくれた人はどこにいるの?」

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