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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第5章 対面

「脚を挫いたみたい」
 たいした怪我ではないようだが、今は脚を前に踏み出すだけでも痛みが走る。
 ジュボクは少し思案した後、ひょいと屈んだ。
「乗れよ」
「でも、言っておくけど、私、見かけによらず重いのよ?」
 ジュボクが途端に笑い出した。
「俺だって、見かけどおり力があるんだぜ。大丈夫だ、お前一人くらい、へっちゃらさ」
 ジュボクも一応、若い男である。その背中に負われるというのは気恥ずかしかったけれど、この痛み様では歩くこともできそうにない。
 ジュボクはキョンシルを背に乗せて、軽々と歩いた。

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