
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第6章 崔家での日々
イルチェも人間である。孫は可愛いと思う。だが、あの娘への情の前に、大切な息子を攫った女への憎しみが立ち塞がってしまうのだ。不憫な娘に手を差しのべようとしても、娘の美しい顔の向こうにその母親の面影がちらついてしまう。
―お祖父さま。
今日、初めてそう呼ばれた。あの瞬間、孤独に生きてきた自分にも、祖父と呼んでくれる孫娘がいるのだと実感でき、涙が出るほど嬉しかった。
なのに、彼は心ない言葉の数々で娘を傷つけた。あのときの娘の酷く傷ついた哀しげな瞳には涙が浮かんでいた。可哀想に、どれだけ辛かったろう。
―お祖父さま。
今日、初めてそう呼ばれた。あの瞬間、孤独に生きてきた自分にも、祖父と呼んでくれる孫娘がいるのだと実感でき、涙が出るほど嬉しかった。
なのに、彼は心ない言葉の数々で娘を傷つけた。あのときの娘の酷く傷ついた哀しげな瞳には涙が浮かんでいた。可哀想に、どれだけ辛かったろう。
