
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第6章 崔家での日々
キョンシルは頭からすっぽりと被った外套を更に目深に引き下げた。
ここは首都漢陽の外れである。崔氏の屋敷を出てから、既に数時間が経過している。朝はかなり気温が下がったが、太陽が真上に来る時刻の現在、急上昇して夏並みの暑さになった。全く猫の目のように気まぐれに変わる天候が恨めしい。
本当はこんなうっとうしい外套など、さっさと脱ぎ棄ててしまいたいが、あまり人眼につきたくはなかった。
キョンシルは苦笑する。まだ、自分はあの老人に期待を抱いているのだろうか。人眼につきたくないというのは、崔家が町中に使用人たちを放ってキョンシルを探させていはすまいかという前提の元に成り立つ懸念である。
ここは首都漢陽の外れである。崔氏の屋敷を出てから、既に数時間が経過している。朝はかなり気温が下がったが、太陽が真上に来る時刻の現在、急上昇して夏並みの暑さになった。全く猫の目のように気まぐれに変わる天候が恨めしい。
本当はこんなうっとうしい外套など、さっさと脱ぎ棄ててしまいたいが、あまり人眼につきたくはなかった。
キョンシルは苦笑する。まだ、自分はあの老人に期待を抱いているのだろうか。人眼につきたくないというのは、崔家が町中に使用人たちを放ってキョンシルを探させていはすまいかという前提の元に成り立つ懸念である。
