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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第6章 崔家での日々

 キョンシルの身体がふらりと傾いだ。駄目、もう、これ以上は歩けない。
 ほっそりとした身体が砂利道に倒れ、土埃を上げる。いきなり昏倒した女を見て、行き交う人々は悲鳴を上げ、瞠目した。
 トスおじさん、こんなに待っているのに、どうして迎えにきてくれないの? 私、もう待ちくたびれちゃった。
 意識が完全に暗闇に飲み込まれる寸前、瞼に浮かんだのは、たった一人の恋しい男であった。
 倒れ伏したキョンシルの回りには、いつしか人の輪ができた。
「行き倒れだ、死人か?」
「いいや、まだ息がある」

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