側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第7章 未来を照らす一番星
「そうか、そういうことか」
頷くと、トスに向き直った。
「君の名は?」
トスの全身に俄に緊張が漲るのが傍目にも判った。トスほどの男でも、やはり天下の崔イルチェを前にすれば、大人に対する子どものようになってしまうのだろうか。
崔イルチェは、キョンシルの祖父はそれだけの人物なのだ。そう思うと、キョンシルはどこか誇らしい気持ちになった。
「朴トスと申します、大監さま」
イルチェが小さな声で笑った。たちまち、トスの全身に纏いついていた緊張の糸が緩む。
「もう、儂は大監ではない。現役を退いてから五年も経った。今はただの老いぼれ、隠居に過ぎない身だよ」
頷くと、トスに向き直った。
「君の名は?」
トスの全身に俄に緊張が漲るのが傍目にも判った。トスほどの男でも、やはり天下の崔イルチェを前にすれば、大人に対する子どものようになってしまうのだろうか。
崔イルチェは、キョンシルの祖父はそれだけの人物なのだ。そう思うと、キョンシルはどこか誇らしい気持ちになった。
「朴トスと申します、大監さま」
イルチェが小さな声で笑った。たちまち、トスの全身に纏いついていた緊張の糸が緩む。
「もう、儂は大監ではない。現役を退いてから五年も経った。今はただの老いぼれ、隠居に過ぎない身だよ」