テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第7章 未来を照らす一番星

「そんな約束したっけ」
「酷い、約束を破る気?」
 キョンシルが軽く睨むと、トスは声を上げて笑った。
「そなたこそ、本当に行儀よく、きちんとできたのか?」
 疑わしげに言われ、キョンシルは首を竦めた。初対面でイルチェに向かって、〝頑固爺ィ〟と叫んだことを思い出して紅くなる。
 トスの鋭い眼がいっそう細められた。
「さては、何かやらかしたな」
「なっ、何もあるはずがないでしょ。完璧よ~、完璧にやり遂げたわよ」
 思わず声が裏返ってしまったのを聞きつけ、トスが高らかに笑う。
 そう、この男の傍にさえいられれば、たとえこれから向かう先がどこだって構いはしない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ