
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から
何より、この町は都から適度に離れている。徒歩(かち)でひと月は結構な長旅ではあるけれど、帰ろうと思えば帰れない距離ではない。もしキョンシルが自分から離れて都の祖父の許に行きたいと望めば、いつでも返してやれるという安心感があった。
恋人が不遇に生命を失ってから、まだやっとふた月を経たばかりだ。なのに、自分はその恋人の娘に早くも夢中になって、この少女のことしか考えられない有様になっている。
あの世の蓮のうてなにいる恋人は、さぞ薄情な男よと恨めしく思っているに相違ない。
―仙女(ソンニヨ)よ。俺は我が心が自分でも信じられない。
亡き許嫁の実の娘を一人の女人として見ている―、そんな自分が信じられないほど汚らわしい男に思えてならないのだ。
恋人が不遇に生命を失ってから、まだやっとふた月を経たばかりだ。なのに、自分はその恋人の娘に早くも夢中になって、この少女のことしか考えられない有様になっている。
あの世の蓮のうてなにいる恋人は、さぞ薄情な男よと恨めしく思っているに相違ない。
―仙女(ソンニヨ)よ。俺は我が心が自分でも信じられない。
亡き許嫁の実の娘を一人の女人として見ている―、そんな自分が信じられないほど汚らわしい男に思えてならないのだ。
