
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から
どうするのかと思っていると、トスは何ものかに誘(いざな)われるように真っすぐに境内を進み本堂へと入った。
トスに続いて本堂に入ったキョンシルは思わず小さな声を上げた。
中央に大きな仏像が鎮座しており、その手前に一人の僧侶が座して熱心に経を捧げている。年格好は五十代半ばくらい。横幅も身の丈もかなりありそうな後ろ姿は、信仰を求めてやってくる者には頼もしく映じることだろう。
トスは無言のまま、僧侶から少し離れて後ろに陣取った。いつになく殊勝な態度で端座すると、両手を合わせて眼を瞑っている。キョンシルも隣に座って神妙な面持ちで合掌する。
静謐な空間に、ただ木魚の音と僧侶の朗々とした声音だけが絶え間なく響いてゆく。
トスに続いて本堂に入ったキョンシルは思わず小さな声を上げた。
中央に大きな仏像が鎮座しており、その手前に一人の僧侶が座して熱心に経を捧げている。年格好は五十代半ばくらい。横幅も身の丈もかなりありそうな後ろ姿は、信仰を求めてやってくる者には頼もしく映じることだろう。
トスは無言のまま、僧侶から少し離れて後ろに陣取った。いつになく殊勝な態度で端座すると、両手を合わせて眼を瞑っている。キョンシルも隣に座って神妙な面持ちで合掌する。
静謐な空間に、ただ木魚の音と僧侶の朗々とした声音だけが絶え間なく響いてゆく。
