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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から

―じっとしてるより、何か仕事をさせて貰った方が良いのよ。
 幾ら懇願しても、トスは怖い顔で首を振る。
 仕方がないので、キョンシルは室の中でできる仕事を選んだ。僧侶たちの衣を繕ったり、布を分けて貰って新しいものを仕立てたりし始めたのだ。それにはトスも文句はなかった。
 針仕事は結構、疲れる。意外と肉体労働にも匹敵するほどなのだ。まず眼を使うし肩も凝る。気分転換や身体を休めたい時、キョンシルは外に出た。
 だが、キョンシルが浜辺に出る理由は、それだけではなかった。
 トスが幾ら仕事に出ていて室内にいないことが多いといっても、たまには戻ってくる。彼自身にも休憩が必要だ。キョンシルは室に二人きりでいるとつい気詰まりになってしまう。

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