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　それはキョンシル自身、全く思いがけぬことであった。母が生きていた頃、いや、つい最近まではトスと二人だけで同じ部屋にいるのなんて平気で、特に意識したこともなかったのに。何故、今更になってトスをこんなにも意識してしまうのだろう？
　確かにトスは一度だけ、キョンシルを強引に抱こうとしたことはある。が、キョンシルは、あの出来事を不慮の事故のようなものと受け止めていた。トスも最愛の恋人である母を失い、キョンシル同様、心が尋常でなくなっていたのだと凄ぶる好意的に理解していたのだ。
　それに、トスは結局、途中で思いとどまってくれた。