
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
「何なんだ、俺が来ると判っているのに、わざわざ二人して引っ込んで。おい、何を企んでいるんだ―」
トスが堪りかねて小部屋へと続く両開きの扉を開けようとしたまさにそのときである。
いきなり眼前の扉が向こうから勢いよく開き、トスは貌をしかめた。
「お待たせしました! ソンニョさまのお出ましよ」
キョンシルが高らかに宣言し、すっと脇へよけると、ミヨンが静々と現れた。ふんわりと膨らんだチマの裾を心もち持ち上げ、かすかにはにかんだような笑みを見せる。
その刹那、トスは息をするのも忘れた果てたかのように眼を瞠った。
「どう? トスさん。今夜のソンニョさまは、いつもにも増して神々しいでしょう。それこそ、見惚(みと)れて言葉もないくらいに」
トスが堪りかねて小部屋へと続く両開きの扉を開けようとしたまさにそのときである。
いきなり眼前の扉が向こうから勢いよく開き、トスは貌をしかめた。
「お待たせしました! ソンニョさまのお出ましよ」
キョンシルが高らかに宣言し、すっと脇へよけると、ミヨンが静々と現れた。ふんわりと膨らんだチマの裾を心もち持ち上げ、かすかにはにかんだような笑みを見せる。
その刹那、トスは息をするのも忘れた果てたかのように眼を瞠った。
「どう? トスさん。今夜のソンニョさまは、いつもにも増して神々しいでしょう。それこそ、見惚(みと)れて言葉もないくらいに」
