
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から
淡く微笑を湛え、どこまでも蒼い海と空を見やる。
「綺麗なところですね、トスおじさんの生まれ故郷は。いつか私が夢に思い描いていたとおりです」
「市井でお暮らしの若いお嬢さんには、寺住まいはさぞかし味気ないものでしょう」
いいえ、と、キョンシルは控えめながら、はっきりと首を振った。
「皆さん、とてもよくして下さって、ご親切なので、助かっています。もう、すっかり馴れました」
トスには内緒だが、境内を歩いている時、僧侶たちとすれ違うことは少なくない。皆、都から来たという美少女に眩しげな一瞥をくれながらも、丁重に挨拶してくれる。彼等の澄んだ清らかな瞳には、既に世俗の欲望は微塵もなかった。中には、キョンシルよりも幼い―どう見ても七、八歳ほどの僧侶もいた。
「綺麗なところですね、トスおじさんの生まれ故郷は。いつか私が夢に思い描いていたとおりです」
「市井でお暮らしの若いお嬢さんには、寺住まいはさぞかし味気ないものでしょう」
いいえ、と、キョンシルは控えめながら、はっきりと首を振った。
「皆さん、とてもよくして下さって、ご親切なので、助かっています。もう、すっかり馴れました」
トスには内緒だが、境内を歩いている時、僧侶たちとすれ違うことは少なくない。皆、都から来たという美少女に眩しげな一瞥をくれながらも、丁重に挨拶してくれる。彼等の澄んだ清らかな瞳には、既に世俗の欲望は微塵もなかった。中には、キョンシルよりも幼い―どう見ても七、八歳ほどの僧侶もいた。
