側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司
通行人たちは怖々と横目で眺めながらも、うっかり関わり合いになっては大変とばかりに知らぬ顔で通り過ぎてゆく。全く、人情のない人たちばかりだ。キョンシルは半ば憤慨しながら、主従に近寄った。
「大丈夫ですか?」
主人らしい男はまだ若いようである。見たところ、二十歳そこそこで、従者は三十前後だろう。急に昏倒した若い主に取り縋って、今にも泣きそうになっている。
「若(トル)さま(ニム)、若さま。しっかりなさって下さいよう」
気が動転するのも当然だとは思うけれど、ここで泣いていても意味はない。頼りにならない従者もいたものだ。
「大丈夫ですか?」
主人らしい男はまだ若いようである。見たところ、二十歳そこそこで、従者は三十前後だろう。急に昏倒した若い主に取り縋って、今にも泣きそうになっている。
「若(トル)さま(ニム)、若さま。しっかりなさって下さいよう」
気が動転するのも当然だとは思うけれど、ここで泣いていても意味はない。頼りにならない従者もいたものだ。