
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
口調だけを聞いていれば、まるで怒っているかのようだ。いかにもトスらしい、と、傍らで見守るキョンシルは笑いを堪えるのにひと苦労であった。つい最近までは知らなかったが、この男は照れると、わざと不機嫌になったようにふるまう癖があるらしい。
もっと幼い頃は、自分が何か余計なことを言って、トスを怒らせてしまったのかと随分気を揉んだものだった。ここで笑いを洩らそうものなら、またしても〝大人をからかうな〟と今度はトスとミヨンの両方から叱られてしまう。
「普段から綺麗だが、今日のそなたはもっと綺麗だ」
今宵、ミヨンは縫い上がったばかりの婚礼衣装に袖を通していた。既に今朝、一度試着済みである。
もっと幼い頃は、自分が何か余計なことを言って、トスを怒らせてしまったのかと随分気を揉んだものだった。ここで笑いを洩らそうものなら、またしても〝大人をからかうな〟と今度はトスとミヨンの両方から叱られてしまう。
「普段から綺麗だが、今日のそなたはもっと綺麗だ」
今宵、ミヨンは縫い上がったばかりの婚礼衣装に袖を通していた。既に今朝、一度試着済みである。
