
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司
キョンシルは玩具でも商品でもない。ウォンジュンのこれまでの人生は何でも思い通りになってきたのかもしれないが、キョンシルがその犠牲になる必要も義理もさらさらないのだ。
「ウォンジュンさま、私は意思のあるちゃんとした一人の人間なんですよ? あなたは今まで望めば、すべてのものが手に入ったんでしょうけれど、私はあなたの思い通りになる玩具ではないんです」
「玩具だなんて、思ってはいない。ただ、僕は君のことを好きで―」
「好きだから? だから、私にもあなたを同じように好きになれとでも?」
それこそがとんだ思い上がりであり、我が儘だということが判っていないのだ。
「ウォンジュンさま、私は意思のあるちゃんとした一人の人間なんですよ? あなたは今まで望めば、すべてのものが手に入ったんでしょうけれど、私はあなたの思い通りになる玩具ではないんです」
「玩具だなんて、思ってはいない。ただ、僕は君のことを好きで―」
「好きだから? だから、私にもあなたを同じように好きになれとでも?」
それこそがとんだ思い上がりであり、我が儘だということが判っていないのだ。
