
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
トスは蒼褪めた貌ながらも気丈に言い放ち、外へと走り出ていった。
「お母さん、お母さん。お願いよ、眼を開けて、私を見て」
トスに言われたとおり、母の身体をそっと床に横たわらせると、キョンシルは薄い粗末な布団を持ってきて、上からかけた。
化粧が普段より濃いせいで、気づかなかった。母の顔色は尋常ではなく悪い。元々白い肌が蒼白く染まっているほど血の気がない。
―ああ、私がもっと早くに気づいていれば。
いつもよりも一段と美しい母をトスに見せたくて、母の白粉を濃くしたり、紅(べに)の色に気を遣ったり、そんなことばかりしか考えていなかった。
「お母さん、お母さん。お願いよ、眼を開けて、私を見て」
トスに言われたとおり、母の身体をそっと床に横たわらせると、キョンシルは薄い粗末な布団を持ってきて、上からかけた。
化粧が普段より濃いせいで、気づかなかった。母の顔色は尋常ではなく悪い。元々白い肌が蒼白く染まっているほど血の気がない。
―ああ、私がもっと早くに気づいていれば。
いつもよりも一段と美しい母をトスに見せたくて、母の白粉を濃くしたり、紅(べに)の色に気を遣ったり、そんなことばかりしか考えていなかった。
