側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
「はい、何しろ、ユチョンは男の癖に下女たちに混じって始終ぺらぺらと噂話に興じているものですから。先日も―」
本来、喋り好きな乳母は、主人の表情が剣呑なことに漸く気づいた。
「も、申し訳ありません」
縮こまる乳母に、ソンジュンは威厳に満ちた声で命じた。
「どうやら、まずは、そなた自身の口に気をつけた方が良さそうだな」
頭を下げて見送る乳母を後に、ソンジュンは息子の室には行かずに引き返した。今、ここで何をどう言おうと、あの頑固者は聞く耳を持とうとはしないのは明白だ。
「それにしても、あの幼かったウォンジュンがもう一人前に恋をする歳になったか」
フッと、笑みを浮かべ立ち止まる。
本来、喋り好きな乳母は、主人の表情が剣呑なことに漸く気づいた。
「も、申し訳ありません」
縮こまる乳母に、ソンジュンは威厳に満ちた声で命じた。
「どうやら、まずは、そなた自身の口に気をつけた方が良さそうだな」
頭を下げて見送る乳母を後に、ソンジュンは息子の室には行かずに引き返した。今、ここで何をどう言おうと、あの頑固者は聞く耳を持とうとはしないのは明白だ。
「それにしても、あの幼かったウォンジュンがもう一人前に恋をする歳になったか」
フッと、笑みを浮かべ立ち止まる。