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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病

「お前もそろそろ身を固めても良い頃合いかもしれんな。うちの若い女中の中に心寄せる娘はいないのか?」
 主人が上機嫌で声をかけてくるなど極めて珍しいことだ。ユチョンは首を傾げながら、ソンジュンの靴を揃えて履きやすい場所に置いた。このユチョンこそ、十日前、町でウォンジュンがキョンシルに初めて出逢った時、彼に付き従っていた家僕であった。

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