側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
この町に来るに至った事情を聞き終え、ソンジュンはひと言だけ訊ねた。トスの話の際中も余計なことは一切挟まず、静かに耳を傾けていて、最後に口にしたのは、この問いだけだった。
―ええ。
―そして、娘の方も一も二もなく、義理の父親についてきたわけですな。
ソンジュンは言いながら、立ち上がった。
―どうやら、息子には哀れだが、初恋は実らぬものと言い聞かせた方がよろしいようだ。色々と評判を聞いてみても、なかなか働き者の賢い娘のようゆえ、事と次第によっては当家の嫁にとまで考えていたのですが、残念なことですな。
―ええ。
―そして、娘の方も一も二もなく、義理の父親についてきたわけですな。
ソンジュンは言いながら、立ち上がった。
―どうやら、息子には哀れだが、初恋は実らぬものと言い聞かせた方がよろしいようだ。色々と評判を聞いてみても、なかなか働き者の賢い娘のようゆえ、事と次第によっては当家の嫁にとまで考えていたのですが、残念なことですな。