側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
「何だ、今日はやけに来客の多い日だな」
彼が言い終える前に、両開きの扉が開いた。
扉の向こうにかいま見た顔に、トスは思わず額を押さえた。やれやれ、親父が来たら、今度は入れ替わりに倅までってか?
内心、勘弁してくれよと言いたいが、わざわざ訪ねてきたものを追い返すわけにもゆかない。何より、分別を示して潔く引いてくれたソンジュンの体面を考慮すれば、その息子を邪険にもできない。偉大な父親を持つと、息子は知らぬ間に得をするものらしい。
「少し話をさせて貰っても?」
トスは顎をしゃくった。これも些か失礼な態度ではあるが、相手は何しろ、彼の大切なキョンシルに乱暴を働こうとした男だ。心穏やかに話をしろと言われても、土台、無理な話である。
彼が言い終える前に、両開きの扉が開いた。
扉の向こうにかいま見た顔に、トスは思わず額を押さえた。やれやれ、親父が来たら、今度は入れ替わりに倅までってか?
内心、勘弁してくれよと言いたいが、わざわざ訪ねてきたものを追い返すわけにもゆかない。何より、分別を示して潔く引いてくれたソンジュンの体面を考慮すれば、その息子を邪険にもできない。偉大な父親を持つと、息子は知らぬ間に得をするものらしい。
「少し話をさせて貰っても?」
トスは顎をしゃくった。これも些か失礼な態度ではあるが、相手は何しろ、彼の大切なキョンシルに乱暴を働こうとした男だ。心穏やかに話をしろと言われても、土台、無理な話である。