
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
「いつも静かなお寺にいるから、別の世界に行ったように感じるわ。相変わらず賑やかね。あ、これはお土産。小僧さん、蒸し饅頭が好きだって話してたでしょ」
「ありがとうございます」
丁寧に合掌して頭を下げるその姿のあまりの健気さに、胸が熱くなる。
「良かったら、もう一つ、どうぞ」
自分の分も差し出すと、利口な少年はちゃんと判っているようだ。
「でも、それはキョンシルさんのでしょう。私が貰ったら、あなたの分がなくなってしまいます」
「良いのよ。私はまた買って食べるから」
キョンシルが微笑むのに、突然、少年が泣き出した。
「ありがとうございます」
丁寧に合掌して頭を下げるその姿のあまりの健気さに、胸が熱くなる。
「良かったら、もう一つ、どうぞ」
自分の分も差し出すと、利口な少年はちゃんと判っているようだ。
「でも、それはキョンシルさんのでしょう。私が貰ったら、あなたの分がなくなってしまいます」
「良いのよ。私はまた買って食べるから」
キョンシルが微笑むのに、突然、少年が泣き出した。
